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2006年02月04日

何故、今クラシック音楽が必要なのか。

 [孟母三遷]と言う言葉がある。
 「子供の教育には、環境を選ぶことが、大切だ。」と言う意味である。
 中国、戦国時代の思想家であった孟子の母親は、孟子がまだ幼い頃、お墓の近くに住むと、お葬式のまねをして遊び、また、市場のそばに引っ越すと、商売ごっこをして、よく遊ぶようになったのに気づき、それならばと、学校の近くに引っ越した。そうすると、孟子は、いつも、机に向かい、本をよく読むようになった。
 こうして、環境が、子供に与える影響を考えて、孟子の教育に努めたという故事から、「孟母三遷の教え」とも言う。
 素晴らしい教えである。
 かつての、わが国においても、子供の教育を大事にし、これに似た話を聞いたことはあるが、昨今の母親からは、この手の話を、聞くことは、少なくなった。
 悲しいかぎりである。
 人間が生きていく上で、一番大切なことは、リズムである。
 この宇宙自体、幾つもの、リズムで成り立っている。
たとえば、地球は、太陽の周囲を、1年365日で廻っており、これも、リズムである。また、地球は、1日24時間で、自転しており、これが、1日のリズムを作る。
 また、心臓の脈拍は、十分にリズムであり、これが、生命をつかさどる。
 つまり、人間は、この宇宙から、宇宙の法則に基づく、幾つものリズムに支配されていると言っても、過言ではない。
 ところが、最近では、この宇宙の法則を無視して生きている人たちが少なくない。
 それが、人々の生きるリズムを狂わせ、人間の生き方を狂わせてしまっているように思えるのは、私だけだろうか。
 たとえば、コンピューターの発達は、経済の24時間体制を必要とし、ここに拘わる人たちは、一日3交代制で、昼間に寝て、夜中に働く人たちを生んだ。
 このリズムの狂いが、実は、昨今の犯罪の激増、とりわけ、青少年犯罪への増加傾向の原因と考えられている。
 この「孟母三遷」の故事にならい。もう一度、日本人を、この宇宙の自然のリズムの中に、戻すことは出来ないだろうか。
 子供の頃、学校の運動会の日、あの、勇壮な行進曲の音楽を聴いて、気持ちが高鳴った経験をお持ちの方も多いはずである。あの、2拍子の、マーチのリズムは、何故か、人の気持ちを高揚する。
 それに比べ、ワルツの3拍子のリズムを聴くと、なにか、ワクワクと、踊りたくなる。
 不思議なものである。
 この音楽のリズムの特性を生かし、子供たちに幼い時から、クラシック音楽のやさしいリズムを聴かせたらどうだろうか。たとえば、ベートーヴェンの「田園交響曲」のような優しいリズムを、毎日聴かせていたら、どうなるだろうか。
 自然と、生きるリズムが、ゆったりとした、物静かな子供たちが育ってくるのではないだろうか。
 ところが、最近の学校教育の現場を見ていると、ちょっと首を傾げたくなることがある。
 たとえば、小学生や、中学生に、ジャズのバンドを作らせて、これが、音楽教育だと主張している人たちがいる。これは、間違いである。
 ジャズの歴史を紐解いてみれば、明白である。
 ジャズとは、19世紀末頃、アメリカにおいて始まった、新しい音楽で、黒人の民族音楽と、ヨーロッパ音楽を母体として生まれた。楽器編成や、メロディ、ハーモニーは、ヨーロッパ音楽の伝統を引き継ぎ、リズム、フレージング、サウンドは黒人の感覚をもとにしている。音楽としては、素晴らしいものであり、心打つ曲も少なくない。しかし、これらの音楽が生まれてきた背景を考えると、わが国の若年層に教える教材としては、いかがなものであろうか。
 アメリカ新大陸の発見は、近代の奴隷制度の始まりである。そして、この歴史は、新大陸の開発に、スペインが、先住民やアフリカ黒人を使用したことに始まり、アメリカ南部のプランテーションで最盛となった。この黒人奴隷たちの、過酷な労働の中から生まれてきたのが、ジャズのリズムである。
 昼間の過酷な労働から解放されて、夜、ふるさとを思い、自由に憧れて、生まれてきた音楽が、ジャズである。だから、ジャズは、心を打つ。しかし、同時に、これは、抵抗歌でもある。
 それだけに、幼い子供たちに聴かせるには、必ずしも、適当と言えるだろうか。
 まだ、無色透明の心の持ち主の子供たちには、思想的にも、色の無い、優しいクラシック音楽のリズムを教えるほうが、良いのではないだろうか。
 昨今の、わが国の教育を見ていると、心よりも、技術に重きがおかれているように見える。
 しかし、大事なのは、心である。
 それだけに、教育の現場に、もう少し、クラシックの、優しいリズムの導入が急務なのではないだろうか。  
 

投稿者 hayashiya : 2006年02月04日 09:16